食事をしていて、こんなに次に出てくるメニューが気になることってあるんですね。
何気なくお品書きに目を通しました。
ん? お品書きを見てみても、書かれている名前は
『自由自由』
など、ユーモラスだったり、優美な単語ばかり。
スタッフの方に聞いてみても、いたずらっぽい笑顔をされるだけで教えてもらえません。
「次は何が出てくるのかな?」
お品書きの文字を色々な角度から眺めてみても、ヒントは見つからなさそうです。
頭の中は次に出てくるお料理のことでいっぱい。
早くお料理を見てみたいな……。
あまり時間の間隔はあいていないはずですが、待ち遠しくて長く感じたわずかな時間。
待ちに待った次のお料理が目の前に出てきました。
「こういうことだったんだ!」
思わず目を見開いてしまいました。
いい意味で期待を裏切ってくれたお料理は、ただ味わうだけではなく、『わくわく』という高揚感も久々にもたらしてくれます。
いつもより、「おいしい」という気持ちが強く感じられる気がします。
この高揚感は、茄子のはなの魔法にかかった証拠かもしれません。
茄子のはなのお食事は板前が一人で手間ひまかけて、本日のお客様全員分のお食事を作ります。
茄子のはなが6室だけのこじんまりとした宿であるのはお客様に行き届いたおもてなしをしたいから。
板前の気持ちも、同じです。
大量生産で流れ作業で作ったお料理は出したくない。
まごころを込めて、素材のおいしさをを十二分に引き出したお料理を味わっていただきたい。
そのために板前は一皿一皿、真剣に素材と向き合うことに決めました。
使用するお米にもこだわります。
お米を知り尽くした日本有数の五ツ星お米マイスターが選ぶお米を仕入れているんです。
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朝、日の出前から板場で黙々と仕込みを行います。
静まり返った早朝の板場は、日中よりひんやりとしていますが食材と向き合っている板前の真剣な目は熱を帯びています。
板前が試行錯誤の末にお出しする一品は、伊豆ならではの海の幸と山の幸をふんだんに使った和洋創作料理。
基本には忠実に、でも新しい感性も取り入れた、食べやすいけれど意外な味の発見がある一品ぞろいです。
「このお料理、どうやって作るんですか?」
と気になってたずねてくるお客様も多い一品ばかりですが、板前の「食」への模索は終わりません。
お客様からの評価に満足せず、常に「これはどうやって作るんだろう?」とお客様の興味をひくお料理を出し続けること。
頂点を作らないこと。
頂点を作ってしまうと、進歩がないから…。
これが寡黙な板前の、譲れない熱い信条なんです。

次のお食事が出てくるちょっとした間に、ふとお食事処の一面を占める広々とした窓に目を移しました。
絵のように広がる大きな窓からは、夜空と暗闇に浮かび上がる山々のシルエットが眺められ、移り変わる空を独り占めしている気分になれます。
普通の温泉旅館のお食事と違って、テーブルコーディネートからお食事にいたるまで和と洋のテイストを取り入れ、見た目にもおしゃれなディナーはまるで人気の個室レストランのよう。
レストランと違うのは、お料理の味の深み。
盛り付けや器の美しさだけではなく、味に「ぬくもり」を感じました。
お料理に「ぬくもり」なんて…不思議な表現かもしれません。
でも本当に、温かいお料理だけではなく冷たいお料理にも「ぬくもり」が感じられたんです。
口休めに出た赤いシャーベット。
ラズベリーと思って口に入れたら、すっきりとした自然な甘みが口の中に広がりました。
なんとこのシャーベット、ラスベリーではなくトマトのシャーベットだったんです!
想像してみてください、
冷やされた器、丁寧にうらごしされたシャーベットの口の中で淡雪のように崩れていく滑らかな口どけ……
このシャーベットを一口味わった時に感じたのが、素材の奥深い味の重なりあいと、売り物では味わえない滑らかな口どけでした。
丁寧に作られたことが分かります。
冷菓でしたが、この時板前の手の「ぬくもり」がこの一品にこもっているように思えました。
温かい料理は、テーブルに運ばれるまで食材の旨みと立ち上がる湯気にフタをして、まるでテーブルの上で時間を解き放つように、出来上がった時の新鮮さと温かさのまま味わえます。
そんなお料理の味を引き立ててくれるのは、オリジナルの日本酒と焼酎、ワイン。
クセがないので、お酒が弱い人でも美味しく味わえそうです。
グラスの中でゆらゆらきらめくお酒を眺めていたら、いつの間にか気持ちよくほろ酔いになっていたみたいです。
9月の伊勢エビ解禁に併せて、茄子のはなでは伊勢エビ・アワビ・サザエを盛り合わせた特別料理「海の幸のいいとこどり」もご用意しています(オプションです)。 ご予約の際には是非、ご注文お待ちしています。
伊豆 伊豆高原の温泉旅館 茄子のはな

